組織再編に関する手続き
複雑な組織再編を、完全なスケジュール管理で完遂する。
M&A・グループ再編のパートナーとして登記の専門家にお任せください。
組織再編とは、企業の組織や体制を見直し、経営資源を最適化するための手法であり、合併や分割、株式交換、株式移転、株式交付を通じて行われます。
企業の未来を左右する組織再編手続きにおいて、最も重要なのは「効力発生日」を遵守することです。
当事務所は、債権者保護手続の公告手配から、株主総会の招集通知、事前の開示書面、そして最終的な登記申請まで、緻密な工程表に基づきトータルサポートいたします。
組織再編スケジュール・ガイド
組織再編手続きは、最短でも約1.5ヶ月〜2ヶ月の期間を要します。
これは法律で定められた「債権者保護手続(1ヶ月以上)」の期間が必要なためです。
当事務所では、ご相談いただいた時点で「逆算スケジュール表」を作成し、タスクを可視化します。
標準的なスケジュールの流れ(吸収合併・吸収分割等の場合)
- 再編スキームの確定(合併、分割、株式交換など)。
- 契約書のドラフト作成、取締役会(取締役会非設置会社の場合、取締役の過半数)での承認決議。
債権者保護手続として「官報による公告」が必要となりますが、官報の掲載日は申し込みから約2〜3週間後になるため、早めの手配が必要です。
なお、決算公告を行なっていない場合、併せて行う必要があります。
決算書を確認させていただくことで、弊所にて決算公告案の作成及び掲載申込みをすることも可能です。
- 合併契約書などの締結。
- 本店への事前開示書類の備え置き(株主・債権者への閲覧用)。
- 官報公告: 「合併公告」などを官報に掲載します。掲載日から債権者保護手続の期間が開始されます。
- 個別催告: 知れている債権者に対し、個別に通知を行います。
官報公告の掲載日にメールで通知するケースが多いです。 - 株主通知: 反対株主の株式買取請求権を保障するため、株主への通知または公告を行います。
知れている債権者の数が多い場合や特定できていない場合、個別催告を省略することができる「ダブル公告」※を行うケースもございます。
※ダブル公告による個別催告の省略とは・・・定款および登記記録上の公告をする方法を「日刊紙」または「電子公告」とし、「日刊紙」または「電子公告」に加えて、「官報」でも合併公告を行なう場合です。
- 原則として、効力発生日の前日までに株主総会の特別決議が必要です。
(簡易組織再編・略式組織再編の要件を満たす場合は省略可です。)
- 契約で定めた日に、法的な効力が発生します。
(この日は登記申請日とは異なっても構いませんが、実務上合わせることも多いです。)
- 効力発生日から2週間以内に、本店の所在地にて登記を申請します。
- 合併や分割の場合、消滅会社と存続会社の登記を「同時に」申請する必要があります(経由同時申請)。
申請する管轄法務局、申請する手続きを間違えてしまうと予定していた組織再編手続きが破綻してしまうため、司法書士にご依頼いただくケースが多い印象です。
- 登記完了の予定日は、登記申請日から起算して約3~4週間後となる場合が多いです。
合併や会社分割の記載がなされた会社の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)を取得の上、お預かりしていた契約書や議事録等の書類と併せて納品させていただきます。
主な取扱業務一覧(スキーム別の解説)
1. 合併(Mergers)
2つ以上の会社を1つに統合する手法です。
吸収合併 (Absorption-type Merger)
- 一方の会社が存続し、もう一方の会社は解散(消滅)します。最も一般的な手法です。権利義務を包括的に承継します。
新設合併 (Consolidation-type Merger)
- 全ての会社が解散し、新しい会社を設立して統合します。許認可の取り直しが必要になるケースが多く、実務ではあまり選択されません。
2. 会社分割(Company Splits)
事業の一部または全部を切り出して、別会社に移転する手法です。
ホールディングス体制への移行や、不採算部門の切り離しに利用されます。
吸収分割 (Absorption-type Company Split)
- 切り出した事業を、既存の別の会社に承継させます。
新設分割 (Incorporation-type Company Split)
- 切り出した事業をもとに、新しく会社を設立します。
3. 株式交換・株式移転(Share Exchanges & Transfers)
完全親会社・完全子会社(100%資本関係)の関係を作り出す手法です。
株式交換 (Share Exchange)
- 既存の会社を100%子会社化します。M&A(買収)の手法として利用されます。
株式移転 (Share Transfer)
- 新しく親会社(持株会社)を設立し、既存の会社をその子会社にします。ホールディングカンパニーを作る際によく利用されます。
また、複数の会社を同時に子会社とする共同株式移転を行うことも可能です。
4. 株式交付(Share Delivery)
2021年3月の会社法改正で導入された新しい制度です。 「100%子会社化まではしたくないが、自社株を使って買収したい」というニーズに対応できるため、スタートアップM&Aなどで注目されています。
〜自社株を対価に、柔軟なM&A・子会社化を実現〜
これまでの「株式交換」は、相手企業を100%子会社化(完全子会社化)する場合にしか使えませんでした。
しかし、新設された「株式交付」制度を使えば、一部の株式(例:50%超など)を取得して子会社化する場合でも、対価として自社株を使うこと(株式対価M&A)が可能になります。
株式交付のメリット
- 買収資金として現金を用意する必要がなく、自社株を交付することでM&Aが可能です。
- 経営者の持分を少し残したい場合や、一部の株主だけから買い取りたい場合など、柔軟な設計が可能です。
- 一定の要件を満たせば、株式を譲渡した側の株主に対する課税(譲渡益課税)を繰り延べることが可能です。
手続きの流れ(スケジュール感)
基本的には吸収合併などの組織再編と同様の手続きが必要です。
親会社となる会社で計画を作成し、株主総会の特別決議で承認を得ます。
対価として「自社株以外(現金など)」を交付する場合等は必要ですが、全額自社株の場合は原則不要となるのが大きな特徴(スピード化のメリット)です。
子会社となる会社の株主から、株式譲渡の申込みを受けます。
親会社側で「資本金の額の増加」等の登記申請を行います。
登録免許税の計算例(概算)、報酬の目安
登録免許税の計算例(概算)
組織再編にかかる費用の中で、司法書士報酬と並んで大きなウェイトを占めるのが「登録免許税(実費)」です。
計算式は複雑ですが、経営者様が予算感を掴むための目安としてご確認ください。
「再編に伴い資本金が増えるかどうか」がポイントです。
合併や会社分割により、存続会社の資本金が増加する場合、その増加額に応じた税金がかかります。
資本金が増えない(増加額ゼロ)の場合は、定額(3万円〜)で済むケースもあります。
| 手続きの種類 | 区分 | 登録免許税の計算式(目安) |
|---|---|---|
| 吸収合併 | 存続会社(残る側) | 増加資本金の額 × 1.5/1000 ※ただし、消滅会社の資本金額を超える部分については 7/1000。 ※資本金が増加しない場合は 一律 30,000円。 |
| 吸収合併 | 消滅会社(消える側) | 一律 30,000円(解散登記) |
| 吸収分割 | 承継会社(受ける側) | 増加資本金の額 × 7/1000 ※分割会社の資本減少額の範囲内であれば 1.5/1000。 ※資本金が増加しない場合は 一律 30,000円。 |
| 吸収分割 | 分割会社(渡す側) | 一律 30,000円(変更登記) |
| 株式交換 | 完全親会社 | 増加資本金の額 × 7/1000 ※資本金が増加しない場合は 一律 30,000円。 |
| 株式交換 | 完全子会社 | 役員変更などがある場合は、 その変更分(1万円または3万円) |
報酬の目安
| 種別 | 報酬 | 備考 |
|---|---|---|
| 吸収合併による変更、解散 | 150,000円~ (税込165,000円~) | スケジュール、議事録等作成、確認、公告掲載手続き含む |
| 吸収分割による変更 | 150,000円~ (税込165,000円~) | スケジュール、議事録等作成、確認、公告掲載手続き含む |
| 株式交換 | 80,000円~ (税込88,000円~) | スケジュール、議事録等作成、確認含む |
| 株式移転 | 150,000円~ (税込165,000円~) | スケジュール、議事録等作成、確認含む |
M&A・組織再編前の法務DD(デューデリジェンス)チェックリスト
M&Aや再編を行う前段階で、司法書士の視点から「ここだけは確認しておきたい」法的リスクのチェックポイントです。 買い手(譲受側)企業様の参考になれば幸いです。
【司法書士が教える】M&Aトラブルを防ぐ、登記・法務チェックリスト
買収・統合後に「こんなはずではなかった」とならないために。基本事項の確認をサポートします。
登記簿の整合性チェック
- 現在の登記簿と、定款の内容に矛盾はないか?(例:公告方法、発行可能株式総数など)
- 選任されている役員の任期は切れていないか?(「選任懈怠」による過料リスクの確認)
株主リストの精査(最重要)
- 登記上の株主構成と、実質的な株主名簿は一致しているか?
- 名義株(名義借りの株主)が存在していないか?
- 所在不明株主(連絡が取れない株主)はいないか? → スクイーズアウト(強制取得)等の可否に関わります。
担保権の設定状況
- 会社の不動産や動産・債権に対し、簿外の抵当権や質権が設定されていないか?
新株予約権・種類株式
- 将来株式に変わる権利(ストックオプション等)が登記されているか?
- 議決権制限株式や拒否権付株式(黄金株)が発行されていないか?
よくあるご質問・当事務所の強み
- 官報公告の手配だけ頼むことはできますか?
-
はい、可能です。
ただし、公告の内容と登記すべき事項は密接に関わっているため、スケジュール管理も含めてトータルでご依頼いただくことを強く推奨します。
また、官報公告の手配を自社で行なっていただくことも可能です。
なお、登記手続き上、有効な公告内容であることを確認するために、申込み時から確認させていただくことを強く推奨いたします。 - 司法書士の選び方は?
-
組織再編は、登録免許税の計算や添付書類が非常に複雑です。
また、一歩間違えれば再編自体が無効になるリスクもあります。
「商業登記専門」または「組織再編の実績多数」の司法書士を選ぶことが成功の鍵です。
弊所は貴社の顧問をされている弁護士・税理士・会計士の先生と協業して、組織再編の手続きを行うことが可能です。
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